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090118 うるもち

うる餅


「うるもち」いうのは、搗く(つ )ところと搗かんところがあって、知っている人は知ってるし知らん人はその存在すら知らん。そんなことは何に限らず当たり前の話で、ただそれだけのことなんやが、ぼくにとってのうるもちは独特の郷愁が手伝うので、餅そのもの以上の味つけがある。常にある。

およそ「うるもち」は「のしもち」で、ベタに伸した大きいのを切り分けて使う。これのまる餅はみたことがない。だいたい寒餅のときに搗く。皆が若かったころは、おかあちゃんとこでは臼でほんまに搗いておった。「うるもち」はもち米にうるち米を足して搗く。このあいだ、母が立花の大原屋にきいてくれたところでは、もち米とうるち米(=朝夕に炊く普通のお米ですな)の比率は7:3が一般的らしい。ひろく伸したままが扱い難いなら棒状にでも伸してもあげる、なんなら切ってもあげる。そんなことやったらしい。早い話がおはぎの中身が乾いて堅くなったものといった体裁だろうか。当然うるち米はもち米のようにうまく潰れないので、均一なもちの「もち肌」の中にうるち米の粒のあばたが散る。それによるトータルな口あたりのサクさと、うるち米の米粒の歯触り、これがええあんばいなんや。先に触れたようにこの「うるもち」に、ぼくの場合は子供のころの郷愁のサムネイルが重なる。門口から続いてなだらかにうねるガーデンパス、桃の木、地に刺す様に伏せられて並ぶタマゴのカラ、縁側、幅広の床机、玄関のたたき、カマチ、しき台、板の間、牛小屋、五右衛門風呂、使わなくなったへっついさん、火鉢、おとうちゃんが焼いてくれるうるもち。香ばしく焦げをつけて、サクッとつぶしてどんぶり鉢に並べて、パラパラパラと塩を振って、ちゅんちゅんと白湯を注ぐ。おこげの香りと塩の香りとうるもちの香りが湯気にからんで鼻先にゆらりゆらりと立ち上る。それがうるもちや。どない・・・この感傷が伝わるかなあ。
090118

韶光

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